超少子高齢社会となっている日本において,住み慣れたところで生活できるようなサポートを行う地域リハビリテーションがあります.
地域リハビリテーションでは,自助(本人自身の力),互助(本人とその近親者同士の力),共助(制度化された保険などの力),公助(最終的な保障を行う社会福祉制度)といった考え全てに関わります.
社会保障制度の激増によって逼迫される現状においては,医療・介護・福祉サービスができる限り必要とならないために,予防的な観点から自助・互助を高めるリハビリテーション支援が必要となっています.
その自助・互助を高めるために,“目標をやり遂げたい意欲”である達成動機の評価方法,支援について紹介したいと思います.
以前のブログでも紹介しているように,私はリハビリテーション領域での達成動機を評価する尺度(SAMR)を開発しています.
しかし,SAMRは質問項目の性質上からリハビリテーションサービスを受けている人を想定しているので,医療・介護・福祉サービスなどを受けていない人にとっては回答しにくい質問紙になっています.
そこで,リハビリテーションに限らず地域支援の様々な専門家(医師,保健師,ケアマネージャー,社会福祉士,作業療法士,理学療法士など)からアドバイスをもらい,SAMRの10項目を基盤とした質問内容の改編を行いました.
評価方法として正規の開発手順に則って作成していますので,ぜひ介護予防事業やコンサルティングといった間接支援等に従事している際の評価方法や支援で改編した尺度(Scale for Achievement Motive in Geriatrics:SAMG)を使用してもらいたいと思います.
さらに,地域サロン等に参加する高齢者を対象として,家事動作や外出に関わる活動頻度(FAIという尺度で評価)を基準としたSAMGのカットオフ値を設定しました.
これは,SAMGの合計得点が48点以下だった場合に,家事動作や外出に関わる活動が少ない状態に陥っている可能性を示しています.そのため,そのままの状態が続いてしまうと,自助や互助の力が弱まってしまい,何らかの社会保障制度の利用が増加していく危険性も孕んでいます.
SAMGの評価用紙とカットオフ値のROC分析の資料はこちらからダウンロードできます↓↓
予防的リハビリテーションにおいて,このSAMGを用いる場合は個人にではなく,複数名の集団に対して評価を行うことが想定されます.例えば,介護予防事業での健康体操や地域サロンでの活動において社会参加を促した結果,どのくらい意欲的になり,社会交流が深まったり外出する頻度が増えたのかなど...
そのような予防的リハビリテーションの関わりを行う際には,SAMRを用いた実践と同様に面接法によって目標,自分の行動,周囲の支援について整理していくのをお勧めします.
そして,高齢者の目標設定について,どんなことを目標に置けば良いのかが難しいという場合には,ぜひ個々の“生きがい(生きる意味や目的)”だったり,“やり残したこと(最期の時に後悔しそうなこと)”などを考え,“生きがい”や“やり残したこと”が叶えられるような目標を設定するように勧めてみてください.
使用方法で不明な点などがあれば,気軽に連絡してくださいね!
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